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背中・肩甲骨の痛みFAQ
長時間のデスクワークで肩甲骨の間が張り、呼吸まで浅く感じる場合、単なる「背中の筋肉のコリ」だけではなく、姿勢による胸郭全体の動きの低下が関係していることがあります。
パソコン作業では、頭が前に出て背中が丸まり、両肩が前方へ巻き込まれる姿勢になりやすくなります。
この状態が続くと、肩甲骨は外側へ開いた位置で固定され、肩甲骨の内側にある菱形筋や僧帽筋中部などは、長時間引き伸ばされた状態で働き続けます。
そのため「肩甲骨の間がパンパンに張る」「背中の奥が重い」と感じやすくなります。
さらに重要なのが、背中が丸くなることで胸椎や肋骨の動きまで少なくなることです。
呼吸では肺そのものだけでなく、肋骨が上下・外側へ広がる「胸郭の動き」が必要です。
猫背姿勢が長時間続くと、胸椎が屈曲した位置で固まり、肋骨の動きも制限されやすくなります。
その結果、深く息を吸おうとしても胸郭が十分に広がらず、「胸が締め付けられる」「息が最後まで入らない」と感じることがあります。
また、このタイプの方で見落とされやすいのが、背中ではなく身体の前面です。
肩が前に巻き込まれた状態では、大胸筋や小胸筋など胸の前側の筋肉が短縮し、肩甲骨をさらに前方へ引っ張ります。
つまり、背中が張っているからといって背中だけを強く揉んでも、一時的には楽になっても姿勢そのものは変わらず、再び症状が戻ってしまうケースがあります。
当院では肩甲骨の間だけを見るのではなく、
- 胸椎の可動性
- 肋骨と胸郭の動き
- 肩甲骨の位置と動き
- 大胸筋、小胸筋など身体前面の緊張
- 頚椎と頭部の姿勢と動き
- 呼吸時の胸郭の広がり
まで含めて評価します。
特に胸の前側の緊張を緩め、胸椎・肋骨の動きを回復させたうえで肩甲骨が自然に後方へ動ける状態を作ることが重要です。
「肩甲骨の間が凝っているから背中を揉む」のではなく、「なぜ背中が引き伸ばされ続けているのか」「なぜ胸郭が広がりにくくなっているのか」まで考えることが、繰り返す背中の張りや呼吸のしづらさを改善していくポイントです。
なお、息苦しさや胸の締め付け感は、心臓・肺などの病気でも起こります。
突然強い息苦しさが出た場合や、胸痛、動悸、冷や汗、めまい、安静にしていても続く呼吸困難などを伴う場合は、姿勢の問題と自己判断せず、速やかに医療機関を受診してください。
深呼吸をしたときに背中の真ん中が突っ張るように痛むと、「肺に何か問題があるのでは?」と心配になる方は少なくありません。
もちろん、呼吸に伴う痛みには肺や胸膜、心臓などの病気が関係することもあるため、すべてを筋肉や関節、姿勢の問題と考えることはできません。
一方で、身体を動かしたときや深く息を吸ったときだけ背中が突っ張り、姿勢によって痛みの強さが変化する場合には、胸椎や肋骨、その周囲の筋肉・筋膜の動きが低下しているケースもよくみられます。
呼吸というと肺だけが膨らんでいるように思われがちですが、実際には息を吸うたびに肋骨が上方・外側へ広がり、それに合わせて胸椎や肩甲骨周辺もわずかに動いています。
つまり、深呼吸は胸郭全体を使う「運動」でもあるのです。
長時間のデスクワークや猫背などが続くと、胸椎周辺の脊柱起立筋や多裂筋、広背筋、僧帽筋などが緊張し、その周囲の筋膜の滑走性も低下することがあります。
この状態で普段より大きく息を吸うと、肋骨が一気に広がろうとするのに対して、硬くなった背部の筋肉や筋膜が十分についていけず、
「ピキッと突っ張る」
「背中の奥が引っ張られる」
「これ以上息を吸うと痛そう」
といった感覚が出ることがあります。
ここで背中の痛い場所だけを揉めばよいとは限りません。
当院では、背中の筋肉そのものに加えて、
- 胸椎がスムーズに伸展・回旋できているか
- 肋骨が左右均等に広がっているか
- 背部筋膜の滑走性が低下していないか
- 肩甲骨が呼吸に合わせて動いているか
- 大胸筋や小胸筋など胸の前側が硬くなっていないか
- 横隔膜を含めた呼吸運動がスムーズに行われているか
といった胸郭全体の動きを確認します。
そのうえで、動きの低下している胸椎や肋骨を調整し、肩甲骨周囲や胸部前面の筋肉・筋膜の緊張を整えることで、呼吸時に胸郭が無理なく広がる状態を目指します。
ポイントは、「痛い背中だけを緩める」のではなく、背骨・肋骨・肩甲骨が呼吸に合わせて連動できる状態を作ることです。
呼吸するたびに背中が引っ張られる状態が改善すると、「深く吸っても窮屈ではない」「胸や背中が自然に広がる」と感じられるようになる方もいます。
ただし、深呼吸で生じる背中や胸の痛みには、肺炎、胸膜炎、気胸、肺血栓塞栓症など、医療機関での評価が必要な病気が隠れている場合があります。
発熱や咳、強い息苦しさ、胸痛、血痰、突然発症した激しい痛み、安静時にも続く症状などがある場合は、整体やカイロプラクティックを受ける前に、まず医療機関を受診してください。

朝起きた瞬間に背中全体が「甲羅を背負ったように固い」と感じる場合、単純に筋肉が硬いだけではなく、睡眠中に背骨や関節をほとんど動かしていないことが関係している可能性があります。
私たちは寝ている間にも無意識に寝返りを打ち、同じ場所に圧力が集中しないようにしています。
ところが、疲労が強い、寝具が身体に合っていない、同じ姿勢で長時間眠っているなどの理由で寝返りが少なくなると、背骨や肋骨、骨盤周囲に一定方向の負荷がかかり続けます。
特に日中から背骨の動きが少ない方では、睡眠中にさらに動かない時間が続くことで、朝に
「背中全体が板のように固い」
「腰から背中を伸ばしにくい」
「起きてしばらく歩くと少しずつ楽になる」
といった症状が出ることがあります。
このとき、起床直後からいきなり強く背中を反らしたり、「硬いから伸ばさなければ」と勢いよくストレッチしたりする必要はありません。
朝は長時間身体を動かしていなかった直後です。
まずはベッドの上で膝を軽く曲げ伸ばししたり、身体を左右へ小さく動かしたり、ゆっくり呼吸しながら背骨や肋骨を動かしたりして、身体を徐々に活動モードへ戻していく方が負担をかけにくいでしょう。
そして、私たちがより重要だと考えているのは、「朝だけ一生懸命ストレッチすること」ではなく、そもそも日中から背骨が一つの塊にならず、各関節がスムーズに動ける状態を作っておくことです。
背骨は一本の棒ではありません。
頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個の椎骨が連なり、それぞれの関節が少しずつ動くことで、身体全体として大きな動きを作っています。
ところがデスクワークや運動不足、長期間の姿勢の偏りなどによって一部の胸椎や腰椎の動きが低下すると、その上下の関節や筋肉が代わりに動かなければなりません。
その状態が積み重なると、朝になったときに「背骨全体が一枚の板になったような感覚」が出やすくなります。
当院では、単に背中全体を揉みほぐすのではなく、
- 胸椎一つ一つの動き
- 腰椎と骨盤の連動性
- 肋骨と胸郭の可動性
- 肩甲骨周囲の筋肉の緊張
- 左右の寝姿勢によって生じている身体の偏り
- 頚椎から骨盤までの背骨全体のバランス
などを確認します。
そのうえで、動きが低下している背骨や肋骨を必要に応じて調整し、背骨の各関節がそれぞれ本来の範囲で動ける状態を目指します。
大切なのは、「硬くなった背中を力ずくで伸ばす」ことではなく、背骨を一つの塊から、しなやかに連動する状態へ戻していくことです。
日中のうちから背骨や胸郭の動きを整えておけば、睡眠中に同じ姿勢が続いたとしても、朝起きたときの強いこわばりを軽減できる可能性があります。
なお、朝のこわばりが毎日のように強く、30分~1時間以上続く、動き始めると明らかに軽くなる、夜中に背中の痛みで目が覚める、関節の腫れや発熱などを伴う場合には、単なる筋肉の硬さではなく炎症性や変形性の病気などが関係することもあります。
このような場合はカイロプラクティックだけで判断せず、整形外科やリウマチ科などの医療機関で一度評価を受けることをおすすめします。
このように、何気ない動作をきっかけに背中へ突然鋭い痛みが走る状態は、一般的に「ギックリ背中」と呼ばれることがあります。
ただし「ギックリ背中」は正式な医学的診断名ではありません。
実際には、背中の筋肉や筋膜の急激な損傷・過緊張、胸椎の関節、肋骨と背骨をつなぐ関節などに急なストレスが加わることで起こる急性の背部痛をまとめて、このように表現していることが多いです。
典型的なのが、
「床の物を拾おうとした」
「身体をひねった」
「くしゃみをした」
「着替えで腕を伸ばした」
といった、決して大きな動作ではない瞬間に発症するケースです。
なぜ小さな動作で突然痛くなるのでしょうか。
背中は、胸椎・肋骨・肩甲骨と、その周囲にある脊柱起立筋、多裂筋、広背筋などが協調して動いています。
デスクワークや疲労などによって、もともと胸椎や肋骨の動きが低下している状態では、一部の筋肉や筋膜に負担が集中していることがあります。
その状態で急に身体を前へ倒したり、ひねったりすると、筋肉や筋膜が急激に引き伸ばされたり、関節周囲に瞬間的な負荷が加わったりして、
「ピキッ」
「ズキッ」
「電気が走った」
という鋭い痛みが起こることがあります。
さらに、急性の痛みが起こると身体は患部を守ろうとして、周囲の筋肉を反射的に強く緊張させます。
これを「防御性収縮」と考えると分かりやすいでしょう。
そのため、最初の刺激そのもの以上に、
「身体を動かすのが怖い」
「少しひねるだけで背中がつる」
「呼吸するだけでも背中が突っ張る」
という状態になることがあります。
この急性期に、痛い場所を無理に伸ばしたり、強く揉みほぐしたり、痛みを我慢して何度も動かしたりすることはおすすめできません。
特に強い痛みが出ている直後は、身体が患部を守っている状態です。
そこへさらに強い刺激を加えると、防御性収縮がかえって強くなり、症状を悪化させることがあります。
当院では、このような急性期の背部痛に対して、いきなり痛い部分を強く押したり、大きくひねったりすることはしません。
まず、
- どの動作で痛みが出るのか
- 胸椎や肋骨のどこで動きが低下しているのか
- どの筋肉が防御的に緊張しているのか
- 呼吸によって痛みが変化するか
- 神経症状がないか
などを確認します。
そのうえで、痛みの少ない姿勢を利用しながら、患部そのものではなく、その上下の胸椎や肋骨、肩甲骨周囲から低刺激で動きを回復させていきます。
急性期では、「硬いから強くほぐす」のではなく、身体が安全だと判断できる範囲で少しずつ動きを取り戻し、防御性収縮を落ち着かせていくことが重要です。
症状が落ち着いてきた段階で、胸椎や肋骨の可動性、肩甲骨の動き、背部筋膜の滑走性などを整え、再び同じ場所に負担が集中しにくい身体の状態を作っていきます。
「ギックリ背中」は、痛みが出た場所だけが原因とは限りません。
発症する前から蓄積していた姿勢や関節の動きの低下が、最後の小さな動作をきっかけに表面化していることもあります。
そのため、痛みを取るだけでなく、なぜその場所に負担が集中したのかまで評価することが再発予防では重要です。
なお、転倒や強い衝撃のあとに発症した場合、胸の痛みや強い息苦しさを伴う場合、発熱がある場合、手足のしびれや筋力低下がある場合、安静にしていても強い痛みが続く場合などは、筋肉や関節以外の問題が隠れていることがあります。
その場合は、カイロプラクティックを受ける前に医療機関での評価を優先してください。

このような「身体を少し捻っただけなのに、背中の片側へ突然ズキッと痛みが走った」という症状では、胸椎と肋骨の関節や、その周囲の小さな筋肉に急激な負担が加わった可能性があります。
背中の中央にある胸椎には肋骨がつながっており、その接合部分には「肋椎関節」や「肋横突関節」と呼ばれる小さな関節があります。
これらの関節は、身体を捻る動作だけでなく、呼吸によって肋骨が動くたびにもわずかに動いています。
ところが長時間のデスクワークでは、胸椎が丸まった姿勢で固定されやすく、胸椎や肋骨の動きが徐々に小さくなります。
その状態から突然後ろを振り向くと、本来は胸椎・骨盤・股関節などで分散されるはずの「回旋」という動きが、一部分に集中することがあります。
その瞬間に肋椎関節周囲や、肋間筋、多裂筋などの小さな筋肉・軟部組織へ急激なストレスが加わると、
「ズキッと刺されるように痛い」
「片側だけ背中がつる」
「身体を捻ると同じ場所が痛む」
「深呼吸すると少し響く」
といった症状が出ることがあります。
このような場合、痛い場所だけを強く揉んだり、無理に身体を捻って「動かせば治る」と考えたりするのはおすすめできません。
急性期には身体がその部分を守るため、周囲の筋肉を反射的に緊張させていることがあります。強い刺激を加えることで、かえって防御反応が強くなる場合があります。
当院では、痛みが出ている場所だけではなく、
- 胸椎の左右への回旋
- 肋椎関節と肋骨の動き
- 肩甲骨と胸郭の連動性
- 骨盤の回旋
- 股関節の内旋・外旋
- 左右どちらか一方に負担が集中していないか
まで確認します。
特に重要なのが、「背骨だけで身体を捻らない状態」を作ることです。
人間が後ろを振り向くとき、実際には胸椎だけが動いているわけではありません。
胸椎・肋骨・骨盤・股関節が少しずつ連動することで、身体全体として大きな回旋運動を作っています。
例えば股関節や骨盤の動きが悪くなると、その不足分を胸椎や肋骨周囲だけで補わなければならなくなります。
その状態では、「棚の物を取る」「後ろを振り向く」といった日常の何気ない動作でも、一部分へ大きな負担が集中しやすくなります。
当院では、急性期には痛みを誘発しない範囲で胸椎や肋骨周囲の動きを整え、周囲の筋肉の過剰な防御性緊張を落ち着かせていきます。
そして症状が落ち着いてきた段階で、骨盤や股関節を含めた全身の回旋動作を評価し、身体を捻る力を一カ所に集中させず、複数の関節へ分散できる状態を目指します。
「痛い肋骨を治す」というより、なぜその肋骨周囲だけにねじれの負担が集中したのかを見つけることが、再発を防ぐうえでは重要です。
なお、転倒や衝突などの外傷後に発症した場合、呼吸するだけでも非常に強く痛む場合、息苦しさや胸痛、発熱がある場合、皮膚に発疹が出てきた場合、腹部症状や血尿などを伴う場合には、筋肉や関節以外の病気が関係することもあります。
その場合はカイロプラクティックだけで判断せず、医療機関での評価を優先してください。
ゴルフのバックスイングで背中が痛み、さらに無理に回そうとすると腰まで痛くなる場合、単純な「身体の硬さ」だけではなく、胸椎・骨盤・股関節の回旋がうまく連動していない可能性があります。
ゴルフスイングでは、身体を一枚の板のように捻っているわけではありません。
胸椎、肋骨、肩甲骨、骨盤、股関節などがそれぞれ適切なタイミングで動くことで、大きな回旋運動を作っています。
その中でも重要なのが胸椎の回旋です。
デスクワークや日常生活で背中が丸まった姿勢が続くと、胸椎の伸展や回旋が低下しやすくなります。その状態でバックスイングを大きくしようとすると、本来胸椎が担当するはずだった動きを、腰椎や骨盤で無理に補おうとすることがあります。
ここで問題になるのが、腰椎は胸椎ほど大きな回旋を得意としていないという点です。
胸椎が十分に回らないまま、「もっと肩を回そう」「もっとトップを深くしよう」と無理をすると、腰椎周囲の関節や筋肉に過剰なねじれが加わります。
その結果、
- バックスイングで片側の背中が詰まる
- 肩を回そうとすると背中が痛む
- トップを深くすると腰まで痛くなる
- スイング後に片側だけ背中や腰が張る
- 以前より身体が回らず飛距離も落ちた
といった症状につながることがあります。
この場合、「身体が硬いから」といって、単純に強い回旋ストレッチを繰り返せばよいとは限りません。
柔軟性があっても、実際のスイング動作の中で胸椎・骨盤・股関節が正しい順序で使えていなければ、結局は腰椎が代償してしまいます。
大切なのは、単に「たくさん捻れる身体」を作ることではなく、必要な関節が必要なタイミングで動く身体を作ることです。
当院では、ゴルフによる背中や腰の症状に対して、
- 胸椎の左右への回旋と伸展
- 肋骨と胸椎の連動性
- 肩甲骨の動き
- 骨盤の回旋
- 股関節の内旋・外旋
- 左右の体重移動
- 胸椎が動かない分を腰椎が代償していないか
などを確認します。
そのうえで、動きが低下している胸椎や肋骨を調整し、肩甲骨・骨盤・股関節まで含めて動きの連動性を整えていきます。
例えば、バックスイングで左背部に負担が集中している場合でも、原因が必ずしも左の背中そのものにあるとは限りません。
胸椎の一部が動いていない、反対側の股関節がうまく回っていない、骨盤の回旋が途中で止まっているなど、別の場所の動きの不足を背中が補っているケースもあります。
そのため、痛い場所だけを揉みほぐすのではなく、実際のスイングに近い動作を確認しながら、「どこが動かないために、どこへ負担が逃げているのか」を見つけることが重要です。
胸椎・骨盤・股関節がスムーズに連動するようになると、腰だけを無理に捻る必要が減り、より自然なバックスイングを作りやすくなります。
ゴルフでは柔らかさそのものよりも、可動性と安定性を適切に使い分ける機能的な連動性が重要です。
「もっと捻る」のではなく、正しく分散して捻れる身体を作ることが、背中や腰への負担を減らし、再発を防ぐためのポイントになります。
なお、強い痛みが突然出た場合、安静時にも痛む場合、脚へのしびれや筋力低下がある場合、転倒や強打の後から症状が続いている場合などは、筋肉や関節以外の問題が隠れていることもあります。
その場合は無理にゴルフを続けず、必要に応じて整形外科などの医療機関で評価を受けてください。

1歳くらいのお子さんを長時間抱っこしたり、おんぶしたりした後に、背中の上部が「引き裂かれるように張る」「鉄板が入ったように硬くなる」という症状は、育児中の方によくみられる身体の負担の一つです。
原因の一つとして考えられるのが、子どもの体重によって身体の重心が大きく変化し、それを支えるために背中の筋肉が長時間働き続けていることです。
前抱っこでは身体の前方に重さが加わるため、そのままでは身体が前へ引っ張られます。それに抵抗するため、脊柱起立筋をはじめとする背中側の筋肉や体幹筋は、姿勢を保とうとして持続的に緊張します。
さらに肩が前へ引かれる姿勢では、肩甲骨の内側にある僧帽筋や菱形筋などが引き伸ばされながら働き続けることがあります。
このような「伸ばされながら力を出す」「同じ長さで支え続ける」といった負荷が長時間続くことで、
「肩甲骨の間が焼けるように疲れる」
「背中の上部が板のように固まる」
「抱っこ紐を外しても背中の力が抜けない」
「首や肩まで一緒に張ってくる」
といった状態につながることがあります。
一方、おんぶでは重さが背中側へ移るため、今度は身体が後方へ引かれないように、骨盤や腹部、股関節を含めて姿勢を調整する必要があります。
つまり、前抱っこでもおんぶでも、身体は子どもの体重に合わせて絶えず重心を修正しています。
この負担を背中だけで受け止めていると、脊柱起立筋や肩甲骨周囲の筋肉が休めなくなり、「揉んでもすぐ戻る背中の張り」になりやすくなります。
そのため、当院では単に硬くなった背中をマッサージするだけではなく、
- 胸椎の動き
- 肩甲骨の位置と可動性
- 骨盤の傾き
- 股関節でしっかり身体を支えられているか
- 腹部と背部の筋肉がバランスよく働いているか
- 抱っこ時に左右どちらかへ体重が偏っていないか
- 抱っこ紐を装着したときの姿勢
まで含めて確認します。
特に育児中の身体では、「背中の筋肉を緩めること」だけではなく、「子どもの重さを背中だけで支えなくてよい身体を作ること」が重要です。
胸椎や肩甲骨の動きを整えながら、骨盤・股関節・体幹が連動して子どもの重さを受け止められるようにすることで、一部の筋肉への負担を分散させていきます。
また、抱っこ紐そのものの装着位置も重要です。
腰ベルトが緩すぎたり、子どもの位置が身体から離れていたりすると、重心がさらに外側へ移動し、背中への負担が増えます。できるだけ子どもを身体の近く、高めの位置で保持し、腰ベルトや肩ベルトへ荷重を適切に分散させることも大切です。
育児では「抱っこをしない」という選択は現実的ではありません。
だからこそ、痛くなった背中を毎回ほぐすだけではなく、抱っこやおんぶをしても負担が一カ所へ集中しにくい身体の使い方と、背骨・骨盤・体幹の連動性を整えておくことが重要だと考えています。
なお、非常に強い痛みが続く場合、腕のしびれや筋力低下を伴う場合、発熱や呼吸時痛がある場合、転倒や強い外傷の後から症状が出ている場合などは、単なる筋肉疲労ではない可能性もあります。
その場合は無理に施術や運動を行わず、まず医療機関での評価を受けてください。
「姿勢を良くしよう」と一生懸命背筋を伸ばしているのに、かえって背中が痛くなる方は少なくありません。
実は、良い姿勢とは、背筋を力いっぱい伸ばし続ける姿勢ではありません。
猫背を気にしている方ほど、
「胸を張る」
「肩甲骨を寄せる」
「背中に力を入れる」
「腰を反らせる」
といった方法で姿勢を直そうとする傾向があります。
しかし、この姿勢を長時間続けると、脊柱起立筋や僧帽筋など背中側のアウターマッスルが常に働き続けることになります。
本来、立っている姿勢や座っている姿勢は、背中の筋肉だけで支えるものではありません。
頭・胸郭・骨盤がバランスよく積み重なり、背骨の関節や靱帯、腹部・背部の深層筋(インナーマッスル)などが協調することで、必要以上に力を入れなくても姿勢を保てるのが理想です。
ところが、長時間のデスクワークなどによって胸椎の動きが低下したり、骨盤の位置が崩れたり、体幹を支える筋肉の持久力が低下したりしている状態で、意識だけで背筋を伸ばそうとすると、背中の筋肉がその不足分を代償することになります。
その結果、
「最初は姿勢が良くなるが、すぐ疲れる」
「肩甲骨の間が痛くなる」
「背中の真ん中が焼けるように張る」
「夕方には姿勢を保てなくなる」
といった症状につながります。
これは、「姿勢を維持する筋力が足りないから、もっと背筋を鍛えればよい」と単純に考えればよいものでもありません。
胸椎や肋骨が動きにくい、骨盤が前後どちらかへ傾きすぎている、頭部が前方へ出ているといった状態では、筋肉は最初から不利な位置で姿勢を支えなければならないからです。
当院では、
- 頭部と頚椎の位置
- 胸椎の伸展や回旋
- 肋骨と胸郭の動き
- 肩甲骨の位置
- 骨盤の前後傾
- 股関節の可動性
- 腹部と背部の筋肉(インナーマッスルとアウターマッスル)のバランス
などを確認し、身体全体として無理なく姿勢を支えられる状態を考えていきます。
動きが低下している背骨や肋骨、骨盤周囲を調整し、胸郭と骨盤の位置関係を整えることで、背中の筋肉だけが頑張り続けなくてもよい状態を目指します。
大切なのは、「良い姿勢を筋力で作る」のではなく、「自然に良い姿勢へ戻りやすい身体(自然体)を作ること」です。
本当に楽な姿勢は、背筋をピンと張り続けなくても保つことができます。
むしろ、同じ姿勢を何時間も固定するよりも、少し前後左右へ動きながら、その都度楽な位置へ戻れることの方が重要です。
姿勢改善とは「動かない綺麗な姿勢を作ること」ではありません。
背骨・胸郭・骨盤がスムーズに連動し、必要なときに必要な筋肉だけを使って姿勢を維持できる状態を作ることが、本来の姿勢改善だと当院では考えています。
なお、姿勢とは関係なく強い背部痛が続く場合、夜間痛、発熱、胸痛、息苦しさ、手足のしびれや筋力低下などを伴う場合には、筋肉や姿勢以外の原因も考えられるため、医療機関での評価を優先してください。

背中の片側だけ、それも毎回ほぼ同じ場所が痛むと、「内臓から来ているのでは?」と不安になる方は少なくありません。
確かに、内臓の病気によって背中に「関連痛」と呼ばれる痛みが現れることはあります。
そのため、「左側だから筋肉の問題」「肩甲骨の下だから姿勢の問題」と場所だけで判断することはできません。
一方で、実際には日常生活の左右差によって、片側の肩甲骨周囲へ負担が集中しているケースもよくみられます。
私たちの身体は、日常生活の中で意外なほど左右非対称に使われています。
例えば、
- いつも同じ手でマウスを操作する
- 片手でスマートフォンを持つ
- 同じ側でバッグを持つ
- 脚を組む方向が決まっている
- 片側へ体重をかけて座る
- いつも同じ向きで寝る
といった習慣が積み重なると、骨盤や胸郭の位置に左右差が生じ、肩甲骨周囲の筋肉にも左右で異なる負担がかかります。
特に肩甲骨の下から内側には、僧帽筋や菱形筋、広背筋、脊柱起立筋などが存在し、さらにその深部には肋骨と胸椎をつなぐ関節があります。
骨盤が片側へ傾いたり、胸椎が一定方向へ回旋した姿勢が続いたりすると、片側の筋肉は短く緊張し、反対側は引き伸ばされながら姿勢を支えることになります。
その結果、一部分だけに負担が集中して、
「指一本で場所を示せるほどピンポイントに痛い」
「いつも左側だけ凝る」
「仕事が続くと同じ場所がズキズキしてくる」
「肩甲骨の下を押すと強く響く」
といった症状につながることがあります。
この場合、痛い場所を毎回強く揉みほぐすだけでは、なかなか繰り返しを防げません。
なぜなら、痛みが出ている場所は“負担を受けている場所”であって、負担を作っている原因がそこにあるとは限らないからです。
例えば左の肩甲骨下部が痛くても、右の股関節が動きにくいために骨盤が回旋し、その代償として左側の胸椎や肋骨周囲へ負担が集まっていることも考えられます。
当院では痛むポイントだけではなく、
- 左右の肩甲骨の位置と動き
- 胸椎の回旋や側屈
- 肋骨の左右の動き
- 骨盤の傾きや回旋
- 左右の股関節の可動性
- 座ったとき、立ったときの重心の偏り
- 普段の仕事や生活での身体の使い方
などを確認します。
そのうえで、動きが低下している胸椎や肋骨、骨盤、股関節などを必要に応じて調整し、左右どちらか一方だけに負担が集中しにくい身体のバランスを目指します。
大切なのは、「左の背中が痛いから左の背中だけを治療する」という考え方ではありません。
なぜ左側だけが頑張り続けているのかを、身体全体から探していくことが重要です。
左右の肩甲骨・胸郭・骨盤・股関節がスムーズに連動できるようになることで、一部分だけが過剰に働く状態を減らし、繰り返す背中の張りや痛みの改善につなげていきます。
ただし、背中の痛みの中には内臓や心臓・肺などの病気による関連痛が含まれることがあります。
身体を動かしても痛みがほとんど変化しない、安静にしていてもズキズキ痛む、夜間に強くなる、胸痛や息苦しさ、冷や汗、吐き気、発熱などを伴う場合には、筋肉や骨格だけの問題と自己判断しないことが重要です。
また、痛む部分にピリピリした違和感が出た後、発疹や水疱が現れてきた場合には帯状疱疹などの可能性もあります。
こうした症状がある場合は、カイロプラクティックや整体よりも先に医療機関で適切な検査を受けてください。
右手で長時間マウスを操作している方に、右の肩甲骨の内側から背中にかけて「ねじられるように痛い」「奥の方が締め付けられる」といった症状が出ることがあります。
この場合、単純な肩こりというよりも、右腕を前に出した姿勢を長時間続けることによる、肩甲骨・胸郭・胸椎の左右差が関係している可能性があります。
マウスを操作するとき、多くの方は右腕を身体より少し前方へ出した状態を維持しています。
すると右の肩甲骨は背骨から外側へ離れる「外転」の位置になりやすく、さらに肩が前へ出ることで、肩甲骨そのものも前方へ傾きやすくなります。
この状態が数十分、数時間と続くと、肩甲骨の内側にある菱形筋や僧帽筋中部などは、引き伸ばされた状態で姿勢を支え続けなければなりません。
その結果、夕方になる頃には、
「肩甲骨の内側がズーンと重い」
「背中をねじられているように痛い」
「肩甲骨を寄せたくなる」
「右側だけ背中が固まる」
といった症状が出やすくなります。
さらにマウス操作では、肩甲骨だけが問題になるわけではありません。
手首や指を細かく動かすためには、前腕の筋肉が絶えず働いています。その緊張は肘、上腕、肩へとつながり、肩甲骨の位置にも影響を与えます。
右肩が前方へ出た状態が続けば、胸椎や肋骨にもわずかな回旋が生じ、身体全体が右手でマウスを操作しやすい方向へ偏っていくことがあります。
つまり、症状としては肩甲骨の内側に出ていても、実際には
前腕 → 肘 → 上腕 → 肩甲骨 → 胸郭 → 胸椎
という一連の運動連鎖の中で負担が蓄積していることがあります。
そのため、マウスパッドやマウスを変えたり、肩甲骨の内側だけをマッサージしたりして一時的に楽になっても、仕事を再開すると同じ場所が痛くなるケースがあります。
当院では、痛みが出ている肩甲骨周囲だけではなく、
- 手首や前腕の緊張
- 肘と上腕の位置
- 肩関節の内旋・外旋
- 肩甲骨の外転や前方傾斜
- 小胸筋や大胸筋など身体前面の緊張
- 胸椎の回旋や伸展
- 肋骨と肩甲骨の連動性
- 左右の座位姿勢や骨盤の偏り
まで確認します。
特に重要なのが、肩甲骨を無理に背骨へ寄せることではなく、肩甲骨が胸郭の上を自然に滑る状態を取り戻すことです。
「肩甲骨が開いているから寄せればよい」と考えて、仕事中ずっと胸を張って肩甲骨を寄せ続けると、今度は別の筋肉を過剰に緊張させてしまうことがあります。
当院では、前腕や肩周囲の緊張を整えながら、胸椎や肋骨の動きを調整し、肩甲骨が腕の動きに合わせてスムーズに動ける状態を目指します。
また、骨盤や胸郭の左右差も確認し、右腕を使うたびに背骨が同じ方向へねじれ続けないよう、身体全体のバランスを整えていきます。
ポイントは、「右肩甲骨が凝っているから右肩甲骨を揉む」のではなく、右手を使ったときに生じている身体全体のねじれを評価することです。
前腕から肩甲骨、胸郭、胸椎までがスムーズに連動できるようになることで、一部分だけに負担が集中しにくくなり、長時間のデスクワークでも疲れにくい身体を目指すことができます。
なお、肩甲骨周囲の痛みに加えて、腕や手のしびれ、握力低下、強い首の痛み、胸痛や息苦しさなどがある場合には、神経や心肺系など別の原因が関係することもあります。
そのような場合は、単なるデスクワークの疲労と決めつけず、医療機関での評価を受けることをおすすめします。




















